基礎能力+特性能力=人材の能力
今年もあと1ヶ月を切りました。一年が経つのはなんと早いことでしょうか。師走のこの時期、改めて来年に向けた組織づくりについて考えてみてはいかがでしょうか。
こちらのコラムでお伝えしておりました「活躍人材虎の巻」の作り方を考えていきましょう。
![](https://www.ten-maru.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/20230317-300x169.jpg)
活躍人材を構成する能力は
社会人としての基礎能力=OS
業界等の特性に応じた能力=アプリ
このように考えていただければ良いかと思います。
![経済産業省/「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料 抜粋](https://assets.st-note.com/img/1732536698-lUu0KtNIQzbYZod9yPkxsiaf.png?width=1200)
OSは社会人としての基礎能力。今や転職は当たり前の選択肢となっている時代、たとえどのような転職をしたとしてもその先で必ず求められる能力です。
一方、アプリにあたるのが、業界等の特性に応じた能力。
いわゆる「スキル」と言うと、こちらを思い浮かべる方が多いかと思います。
アプリなので、OSにあたる社会人としての基礎能力が無ければ発揮することができません。また、年次や役職が上がるごとに、求められる能力も変わってきます。
OSがインストールされていなければアプリは動きませんし、OSがあってもその上で動くアプリが無ければ意味がありません。言うまでもなく、仕事をするにはどちらの能力も必要となってきます。
これらを総合したものが「能力」となるのですが、
こちら、いつ、どのようなタイミングで、どんな能力が必要となるのか、把握されておりますでしょうか
「スキル」=能力??
ここにひとりの新人社員がいます。
新卒研修やOJTなどを経て、彼は新人社員から、若手社員へと年次が上がってきています。今、自分に足りないものは何なのだろうか。
例えばIT系の企業であった場合、システムの知識や管理の能力を上げていきたい。これは何も間違ってはいません。
ここで言う「能力」はつまり、上記のところで言う「アプリ」にあたります。
業界に合わせた能力=アプリを強化していくことで、能力が上がる
どんどん「アプリ」を追加していこう!
…本当にこれだけでよいのでしょうか?
役職によって求められるもの
会社、組織の構成は、人、人材です。
たくさんの人が、求められる役割、能力を発揮することで、組織を動かしています。
組織に必要な人材には、それぞれ役割が求められる、ということですね。
![それぞれに動くビジネスパーソン](https://www.ten-maru.co.jp/wp-content/uploads/2024/01/people-2344401_1280.jpg)
では「役割」はどのように割り振られるものでしょう。
ここにひとりの新卒社員がいます。
右も左もわからない若者が、新卒研修、OJTを通じて、徐々に仕事を覚えていきます。新卒社員が若手社員になり、中堅、マネージャー・管理職…役職も上がっていきます。
年次が上がれば、与えられる役割も変わっていきます。
求められるスキルも増えていきます。
何を当たり前のことを言っているんだ、とお感じになるかもしれません。
しかし、この質問に正確に答えられるでしょうか。
「この会社において、この役職に必要な能力・スキルとは何でしょう」
「求められる能力」把握してますか?
貴方は今日から管理職です。と、いきなり辞令が出ても、その人がその瞬間から管理職の役割を果たすのはとても難しいことです。
その人が管理職を任されたのは、それまでの仕事ぶりで、管理職に必要な能力・スキルを身につけていたからだと判断されたからです。
では、その「判断」となる「能力」とは何だったのでしょうか。
これを、すべての社員が明確に理解しておりますでしょうか。
もしくはしっかりと明文化された資料など、ございますでしょうか。
もちろんきちんとした形で用意されている会社もあります。
しかし、そこを上司の感覚、個人の判断に頼っている会社が未だ多いのも事実です。
どのような形であれ、管理職を任された社員がその立場で能力が発揮できればそれは素晴らしいことでしょう。
しかし、求められる役割に必要な能力を発揮できなかった場合はどうなるでしょうか。
それは人事査定においてそのように評価されますし、管理職として足りない能力をインプットする必要もあります。
管理職が果たすべき役割に必要な能力がわからなければ、これらも明確にはなりません。
個人の資質に頼る危険性
新卒研修を経て配属された新卒社員がいます。OJTを通じて仕事を覚えていきます。だんだんと任される仕事が大きくなります。ついにマネージャー職の辞令が下りました。自分なりにマネージャーを全うしようと努力しますが、その責務を果たすことができません。
厳しい査定が下り、ついに降格となってしまいました。
自分には一体何が足りなかったのだろうか。
このような場合、この社員は自身に足りない能力に気づいていませんでした。誰も教えてくれず、手本となる先輩からもそれを汲み取ることができなかったからです。
これはこの社員が「悪かった」のでしょうか。それとも指導していた先輩、上司の能力が不足していたのでしょうか。ではその先輩、上司の指導力が足りなかったのは、そのまた上の先輩、上司が悪かったからなのでしょうか。
こういったケースでは、指導力、育成スキルを「個人の資質」に頼っているケースが非常に多いのです。
自分はこの環境でここまでの能力を身につけた。自分は努力し頑張っている。それはその通りだと思いますが、能力が身に付かなかった人がすべてその人の責任というものでもありません。「たまたま」育成能力低い上司にあたっただけかもしれないのです。
このように、個人の資質、現場任せの育成はリスクがあります。せっかくご縁あって来てくれた人材です。その能力を存分に発揮していただきたい。そのためには
「この役職、この立場で必要な能力はこれです」としっかりと教える必要がありますよね。
その部分を、先輩や上司の資質に頼るのは確実性に欠けると言わざるを得ません。
求められる能力、身につけるべき能力を明文化しよう!
つまり「人材育成虎の巻」とは、
その組織において、その役職に求められる能力、身につけるべき能力を明文化し、能力に応じた人事査定と連動する評価基準となるもの
ということになるでしょうか。
これを是非!作成していただきたいのです。
「虎の巻」は会社によって変わる
人材育成、いや組織をつくるにあたり、人事評価の基準にもなる「人材育成虎の巻」、これが無ければ育成も始まりません。
新卒社員も、若手も、中途採用社員も、管理職も、すべての社員に必要なこの「虎の巻」ですが、これは各企業様で用意していただく必要があります。
業種、職種によって求められる能力は違いますし、会社にはそれぞれ個性があるからです。あくまでも「その会社」に求められる能力を身につけなければ、その役割を果たすことはできません。
「我が社の『虎の巻』」を作成する必要がある、ということですね。
「虎の巻」作成にあたり
では早速作ってみましょう!…といっても、そう簡単なことではありません。
まずは組織体系をしっかりと明文化します。
そして、各役職における評価項目を明確にします。年次、役職に求められるスキル、そのために必要な能力開発、自助努力で達成して欲しいスキルetc…
これら、しっかりと把握できておりますでしょうか。
まずはこれらをしっかり、ひとつづつ把握していきましょう。活躍人材を育成し、役職に必要な能力開発をおこなうには、何が何よりこの「虎の巻」が必要です!
こちらnoteにて「人材育成虎の巻を作ろう!さあ作ろう実践編」を公開しております。合わせてご覧ください!
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