今年も早いものでもう9月。猛暑の夏も一段落といったところでしょうか。今回はマネジメントスキルについてお話させていただきます。
業種にもよりますが、昇進・昇格の時期で最も多いのが4月、次いで10月頃でしょうか。この時期、管理職への辞令が下りる会社もあるかと思います。
初めてのマネジメント業務、要は「一般社員」から「管理職」へ、最初の一歩を踏み出す方に、どんな知識やスキルをインプットすることが必要になってくるでしょうか。
それではまず「マネジメント」の定義を確認していきましょう。
マネジメントって、なに?
企業におけるマネジメントとはそもそも何でしょうか。言葉で定義すると「人や組織を通じて仕事の成果を出す」ということになります。
仕事の成果を出す。当たり前といえば当たり前のことです。しかし、これはあくまでも「人や組織を通じて」行われるもの、という部分がポイントになります。
成果を上げるためには、責任を持って「人」を育て、マネジメントする必要があります。
まずはその役割を担う上で、「人」を指導するための大切な知識をきちんと学ぶ必要があります。
「評価」「コンプライアンス」「メンタルヘルス」などは基礎的知識として身につけるべきでしょう。
マネジメントの2本の柱
マネジメントの仕事は「人を通じて」「仕事の成果を出す」こと。ではそのミッションには何が必要でしょうか。
これがマネージャーのより具体的な業務、それが
組織を作りミッションを達成する「業績管理」、部下を統率し指導する「人材育成」です。
業務を遂行するには、当然数字の管理は欠かせません。と同時に、仕事とは「人を通じて」行われるもの。チームを強く、より良い組織にし、質の高い仕事としていくためには、やはり「人材育成」は欠かせない要素となります。
マネジメントに必要な能力「リーダーシップ」
マネージャーは、仕事を進め成果を出すことに責任を負う立場となります。抱える組織、チームに対してリーダーシップが求められるということに他なりません。
リーダーシップを通じて成果を出し、チームメンバーの成長を促す、これがマネジメントだと定義することができるでしょうか。
では、リーダーシップとは具体的に何を指すのでしょう。
2つのリーダーシップ行動
リーダーシップには2つの行動が定義されます。
それが
- 指示的行動
- 援助的行動
になります。
ひとつずつ見ていきましょう。
指示的行動
「何を」「どのように」「どこで」「いつ」するのか、それら具体的な行動を指示し、行動内容をチェックすること
これはイメージしやすいかと思います。一般的な「管理職」の印象に近い仕事です。
援助的行動
話を聞き、その内容に助言や励ましを与え、解決や意思決定への参画を促す
こちらは具体的な業務の内容というよりも、メンタル的な支えになるという意味合いが強く、また「育成」につながる業務ともいえます。
業務遂行と育成への5つのステップ
これら業務の遂行には、5つのステップがあります。マネージャーのより具体的な仕事とは、これになるかと思います。
- 説明する
- やってみる
- やらせてみる
- 見守る
- 進捗を評価または再助言
言葉にすれば、ああ、確かにこれを繰り返すことで仕事は進んでいるなとお感じになるのではないでしょうか。
この5つのステップですが、実は、部下によって使いどころが変わってきます。
「リーダーシップタイプ」とは
リーダーシップの基本をご説明したところで、次は「リーダーシップ」のタイプについて見てみましょう。
リーダーシップは、以下の4タイプに大別されます。
- 指示型…具体的な指示命令を与え、進捗を細かくチェック、報告させる
- 指導型…指示命令を与え、仕事の達成を細かくチェックはするが、決定されたことも説明し、提案を出させ、前進できるように援助する
- 援助型…仕事の達成に向かって努力を促し、援助し、意思決定に関する責任を皆と分かち合う
- 委任型…意思決定と問題解決の責任を任せる
いかがでしょうか。これを読んで「自分はどのタイプのリーダーかな」とお考えの方も多いかと思いますが、これはいわゆる、「人間性のタイプ」の話ではありません。
リーダーシップタイプは、部下の状況によって使い分ける必要がある
という話です。
部下の状況はそれぞれ違う
リーダーシップタイプはどのように使い分ければよいのでしょうか。
指示型
知識・スキルはまだ足りないが、モチベーションの部下/新入社員/他部門から異動したばかりの部下/中途採用で社内ルールなどの理解が浅い部下
これらの部下は、知識経験に乏しく、まだまだ指示が必要になるというのはご理解いただけるかと思います。
指導型
知識、スキルはついてきたが、モチベーションが低下してきた部下/自分なりに動けるが、壁にぶつかり成長のスピードが落ちている部下
援助型
知識・スキルは十分高いが、モチベーションにムラのある部下
委任型
知識・スキルともに十分に高く、モチベーションも常に高い部下
これら部下のタイプにより、自分のリーダーシップタイプを使い分けることが、よりよい育成へとつながっていきます。
部下もまたタイプが変わり成長する
部下のタイプによってリーダーシップタイプを変えていくように、部下も状況によってタイプが変わっていきます。
例えば新入社員の頃は、「指示型」で接する必要がありますが、成長するに従い、指示を待つだけの業務にやり甲斐を見いだせなくなるでしょう。
このように部下の成長と共にリーダーシップタイプを変えていき、成長を促していきます。
理想的な成長とは?
ここまで来れば、大きな流れはおおよそご理解いただけたかと思います。部下のタイプによって必要なリーダータイプはこのようなものでしたね。
- 指示型…モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下
- 指導型…自分で多少は動けるがモチベーションが低下しつつある部下
- 援助型…仕事はできるがモチベーションにムラのある部下
- 委任型…スキル、モチベーション共に高い部下
この中で、社員にはどのようなタイプに成長してもらいたいと考えるでしょうか。
言うまでもなく、「委任型」が適した、「スキル、モチベーション共に高い部下」です。
しかし、当たり前ですが、入社したてでそのようなスキルのある人間はおりません。
誰しも最初は「モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下」であったはずです。そこから正統に育成され、スキル、モチベーションの高い部下になっていったのです。
リーダーシップタイプの使い分けの本質は、この「成長に伴い、リーダーシップタイプも変えていく」ことにあります。
指示型…モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下
↓
指導型…自分で多少は動けるがモチベーションが低下しつつある部下
↓
援助型…仕事はできるがモチベーションにムラのある部下
↓
委任型…スキル、モチベーション共に高い部下
社員の成長は大体このようなステップを踏みます。リーダータイプを使い分けることで部下を成長させる。これがリーダーシップの神髄ということですね。
そんなうまいくとは限らない…成長あるある
なるほど、このように正しくリーダーシップを発揮できれば、皆「スキルとモチベーションの高い社員」になる…と、言いたいところですが、当然ですが、現実はそんなに甘くありません。
実際はこのようなところでしょう。
- 指示型…モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下
↓ - 指導型…自分で多少は動けるがモチベーションが低下しつつある部下
時間のかかり具合は違いますが、ここはそれなりに到達することが多いようです。そして、ベテランになると
↓ - 援助型…仕事はできるがモチベーションにムラのある部下
になっていきます。問題なのは次です。
↓ - 委任型…スキル、モチベーション共に高い部下
この、4段階目に到達するのが難しい場合が多くあるようです。
また、せっかく「委任型…スキル、モチベーション共に高い部下」に到達しても、きっかけ次第で「援助型…仕事はできるがモチベーションにムラのある部下」に後退してしまうこともあるでしょう。
このあたりがマネジメントの難しさかもしれません。
部下のタイプはリセットされる⁉
貴方の素晴らしいマネジメント力で部下は「委任型…スキル、モチベーション共に高い部下」に成長することができました。では、ここで育成は終わりになるのでしょうか。
仕事のできる人には、新しい業務や異動、昇進がつきものです。
そして新しい環境ではまた、
「1、指示型…モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下」として働き始めることになります。
そして同じく成長できるかどうか…それは本人の努力や環境、そしてマネージャーの力にかかっているのかもしれません。
新任マネージャーも成長を!
初めて管理職を任される、「新任マネージャー」さんにぜひおススメしたい内容とすべく語ってまいりましたが、そんな新任マネージャーさんもまた、「モチベーションは高いが知識、理解の少ない部下」として、新しい職責を担ったのだ、ということをぜひ心に留めておいてください。貴方に指導する上司もまた、通った道なのです。
そしていつか、もっと高い管理職へと昇進した際は…また、1から成長です。
どの役職に就いていても「スキル、モチベーション共に高い部下」を目指して成長することを意識してみてください。
誰しも最初は「モチベーションは高いが知識、理解の少ない」社員。そこからどのように成長するか、自分自身も楽しみにしつつ、ワクドキでお仕事できたら素敵ですね!
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