酷暑の毎日ですが、日暮れ時は秋の気配も感じられるようになってきました。
私はモントリオールでの生活もいよいよ終盤を迎え、明後日には帰国となります。
帰国後に改めて、こちらでの生活の様子などをお伝えできればと思っていますが、その前に!
8月は新入社員の皆さんも入社後初めての長期休暇を過ごし、また気合を入れなおして、次は年末までの目標を決めて、会社での業務習得に勤しむ時期に入りますね。
ということで、過去の記事でもお伝えした内容を改めてお伝えいたします。
新卒半年後フォローアップの重要性、そして新卒最新事情でわかる育成の今について、ぜひ最後までご覧ください。
コロナを経て変わった新卒傾向
コロナ禍は世界を変え、そして新入社員の育成方法にも影響を与えてきた…というのは、何度もお伝えしているところです。
コロナ禍がここ数年の新入社員の皆さんに与えた影響を要約するとこうなるでしょうか。
「コロナ禍で学生時代のリアルな体験を奪われた世代は、経験が乏しいことを自覚し、自信を持てなくなっている」
リモートワークやオンライン研修も十分に浸透している今、だからこその「あえて」リアル形式(対面)での学びを取り入れていただきたいと考えています。
そして、アフターコロナを迎え、さらに進んだ今現在、新入社員の人たちの様子はどのように変化したでしょうか。
気持ちは上向き⁉今ドキ新卒さん
研修などを通じて率直に感じているのは、今年度の新入社員の皆さんは「元気だ」ということ。
今年度の新入社員は、その前の世代に比べ、アフターコロナ後のリアルな体験を得ることができています。
学生時代にインターンを経験することが可能でしたし、新卒で入った企業でも、最初から「対面」で仕事をすることができる環境が復活している企業も多くあります。
学生時代から新卒まで、すべてをコロナに塗りつぶされてしまった世代に比べると、ずっと自信を感じさせてくれる、これが「今ドキの新卒」さんです。
それまでの世代をコロナ直撃世代とすれば、今年度は
「コロナ禍明け第1世代」と言ってもいいかもしれません。
会社側もコロナ禍で希薄となった社内コミュニケーション環境の改善に積極的になっている、そんな時期に入社ができたタイミングもプラスに働いたのではないでしょうか。
同僚や社会とのコミュニケーションも良好で、非常に明るく、前向きです。
仕事満足度に関わる体験とは?
まずは、こちらの調査をご覧ください。
入社前の社会的経験とは、高校や大学在学中に経験した学校外の社会人や企業とつながる活動のことを指します。
このように、学生時代の社会的経験が多ければ多いほど、仕事満足度が高い、という結果が出ました。
昨年度までの新入社員はコロナ禍に大きく影響を受け、アルバイトやインターンの経験を思ったように積むことができず、それゆえに自信を失っていたのではないか…という推察も当てはまりそうな結果です。
一方で、コロナによる悪影響と仕事満足度との相関に関して、このような調査結果もあります。
コロナによる悪影響とは、「大学の授業や仕事のほとんどがリモートになった」「就職活動の先輩訪問やインターンシップ、面接のほとんどがリモートになった」「大学のサークル活動が大きく制約を受けた・サークルに入れなかった」などを指します。
こちら、なんと
コロナからの悪影響の度合いが大きい人ほど、仕事の満足度が高いという結果が出ているのです。
コロナによって体験の機会を奪われ、学生時代に不満を残したまま就職をした人ほど、仕事の満足度は下がりそうにも思えます。
しかし、結果は真逆。これはどういうことなのでしょうか。
いや、むしろ「学生時代のコロナによる悪影響」そのものが、今の満足ー
「学生時代はコロナの影響もあったが、コロナ禍が明けた今だからこそ、現在の環境のありがたみも理解できるし、相対的に満足度が高い」ということなのでしょう。
今年度の新入社員の皆さんは、
「学生時代の前半はコロナの影響を強く受けたものの、後半は社会的経験を積むこともできたため、仕事満足度もその前の世代より高い傾向がある。コロナ禍の体験そのものはあるため、コロナ禍明けの今、仕事に打ち込める環境のありがたさも理解しており、これらも仕事満足度が高くなる要素になっている」
と言えるのではないでしょうか。
新卒さんがなりたい人材とは?
せっかくやる気に満ちあふれ、仕事満足度も高い傾向にある新入社員の皆さんです。ぜひ!優秀な人材へと成長し、会社に貢献して欲しいところです。
では、「新入社員」を採用する際、もっとも避けなければならないのは何でしょうか。
それは
ミスマッチによる「早期離職」ですね。これは昔も今も変わらず普遍的な課題だと思います。
では、次に以下のデータをご覧ください。
就職後の体験と早期離職意向の相関を示したデータです。
「所属する企業・組織外の人との勉強会の主催」
「大学、専門学校への通学(学び直し)」
「ボランティア活動(文化振興・災害復興など)」
「収入を伴う副業・兼業」
上記のような、所属する組織を越境した体験をした人の方が早期離職の傾向が低い、という結果が出ています。
会社における技術や業務習得を急ぐあまりに、社内での学びやスキル習得だけに人材育成の機会を限定してしまうのはむしろ逆効果と言えます。社外のことを知ったからこそ、自社の良さにも気づくことができるということなのでしょう。
終身雇用神話はとうの昔に崩壊し、今や「転職」は、当たり前の選択肢となっています。
今ドキの新入社員の皆さんは、入社した「先」の人生も視野に入れて働く方が増えている傾向にあります。
いつか会社を離れて羽ばたいていってしまうかもしれませんが、その意識を変えることはできません。むしろ外の世界をたくさん知り、そのうえで選ばれ続ける会社でいることが大切なのですね。
新卒さんのキャリア観
そして興味深いのは、こちらのデータです。
新卒さんの「キャリ観」に関する調査データです。
親御さんから「いい会社に入って出世」「世の中の役に立つ」「何かの分野で突出」といった期待を受けた人は仕事満足度が高いことがわかります。
これはどういうことかと言えば、「年長者の期待はちゃんと響いている」ということですね。
「成長して欲しい」「よい仕事を期待している」といった上司や会社の気持ちはしっかりと通じるのだということです。
また、寄せられる期待の内容ですが、「世の中の役に立つ」「何かの分野で突出」といったあたり、非常に現代的とも言える価値観を持っています。
新入社員の皆さんのキャリア感は、お金が欲しい、偉くなりたいといった一時代前の画一的な成功者のビジョンとは異なり、本当の意味でのキャリアアップ、社会貢献といった一段先を見据えていると言えるでしょうか。
収入を上げて良い生活をしたい、という理由だけではない、さらに高い次元でキャリアを考えている、ということですね。
信頼される会社になろう!
今年度の新卒さん新入社員に限らず、彼ら若手、いわゆるZ世代はどんな人達なのでしょうか。
簡単にまとめますと、
- デジタルネイティブ
- ネットリテラシーが高い
- ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容)を重視
- 新しいテクノロジーへの関心が高い
- 消費傾向/地に足のついた経済感覚
- 働き方の傾向/自分らしさを大切にする
- 真の価値を求める
そして、新卒入社のその先に、当たり前のようにキャリアアップのための転職という選択肢を持っている人たちでもあります。そして、外部での体験をさせた方が、より会社へのエンゲージメントが高まる傾向があることもわかりました。
現代の若者は真の価値を求め、自分らしさを大切にしています。
そして、理不尽には屈しません。押さえつけるようなことをすれば、とたんに信頼を失ってしまいます。
そして、転職を考えるのであれば、自分自身の価値を高めていかなければならないことを、彼らはよく理解しております。
それでしたら、彼ら日本の未来を担う若者に、大きく成長してもらい、羽ばたいていって欲しい、と、心から応援し支援する会社になることは、とても意義のあることかと思います。
そういった利己的ではない会社の姿勢こそが、彼らからの真の信頼を得ることができます。そして、結果的に離職率を下げることになるのではないでしょうか。
育成が大切なそのワケ
今年の新入社員の皆さまは、コロナ禍の影響も受けつつ、だからこそ、現状のありがたみにも気づくことができ、未来への希望溢れる元気な若者です。
彼らの成長を後押しすることが、結果として会社へ貢献する人材確保につながっていく、という、まるで「北風と太陽」のようなお話でしたね。
新卒社員の研修が必要な理由は明確で、すでに実践されている企業さまも多いことでしょう。
仕事で必要なことをゼロからインプットしなければなりませんから、研修で教えられるであろうことも、何となく想像できるはずです。それこそ名刺交換や電話の取り方などが頭に浮かぶでしょうか。
しかし、それだけで仕事ができるわけではありません。
では、新卒社員に求められていることは何でしょうか。
「新入社員はすぐに仕事ができるようになるわけではない。できなくて当たり前。だからこそ、周囲の上司や先輩から、業務に必要な助けを得られるようになることが、新入社員にとってまず一番に必要なスキルといえる」
まとめると、上記のように言えるかと思います。
経済産業省が2006年に提唱した12の社会人基礎力のうち、
「チームで働く力」に対する総合的な能力であり、
「前に踏み出す力」能力要素の中の
「2. 働きかけ力」が必要になるわけです。
この能力、貴社の新入社員の皆さまはしっかり発揮・インプットできていますでしょうか。
これらを確認し、足りないところを補い、入社から半年間の自身の成長と今後の目標をしっかりと認識する「入社半年後フォローアップ研修」は、まさに必須と言っていい研修なのですね。
入社直後はわかる…1年後の振り返りも必要。でも半年後はあまりピンとこない、このようにお感じになる人事ご担当の方も多いように思います。
しかし、育成は最初の1年間がもっとも大切な、大きく成長が期待できる時期でもあります。新人育成には、3年間は見ておいてください。
この3年間でいかに大きく成長できるかは、最初の1年間にかかっています。
だからこそ、育成の新常識。
「入社半年後フォローアップ研修」の導入をぜひご検討ください。
心から新入社員の皆さんの成長を願う会社の姿勢は、きっと新入社員の方に伝わると信じております。
育成の新常識!「入社半年後フォローアップ研修」で新入社員の今の状況を見える化し、大きく羽ばたくためのマインドセットを行います!
Tenmaruは、人材を通じてワクドキな組織づくりに寄り添います。