11月、秋も深まり、冬の訪れももう少しです。インフルエンザも流行しているようですが、皆様もお気をつけてくださいね。
さて、のコーポレートミッションは「組織づくりのお手伝い」です。組織の編成や組織が一丸となって力を発揮できる体制づくり、組織内のコミュニケーションを円滑に進めるためのお手伝いをしている会社、ということですね。
仕事は組織で行うもの。いわばチーム戦と言ってもよいでしょう。 仕事は自分以外の誰かとともに進めるもの。どんな部署であっても必ず「チーム」にとして協力し合う必要があります。
しかし、チーム内において、うまく立ち居振る舞えない人という方もいるのではないでしょうか。
そして、こんな風に思われてしまいます、「空気が読めない」と。
「空気を読む」とは状況把握
「空気を読む」とは、日本特有の悪しき同調圧力…だと思っている方も多いかもしれませんが、それは違います。では、「空気を読む」とは一体どういうことなのでしょう。
逆に考えてみましょう。「空気の読めない人」と聞いて、思い浮かぶのはどのような状況でしょうか。
「こんな時にそんなことを言うなんて」
「正論だけど、今言うことじゃないよな」
このように感じた経験は誰しもあるかと思いますが、すべてに共通して言えることがあります。それは 「その場において適切ではない」と思われる言動をしている、ということですね。
つまり、「空気を読む」というのは、その場において、適切な言葉を選び、行動すること。それができていない人を見ると、人は「空気が読めないな」と感じるのです。 そして、適切な言動は何か、を判断するには、判断基準が必要となります。 「その場にふさわしい言動」の根拠は、もちろんその場の状況によって変わってきます。
以上をふまえて、こうも言えるのではないでしょうか。
「空気を読む、というのは適切な状況判断をすること」
スキル「空気を読む」を身につけよう
空気を読むというのは、特殊な察知能力でも、ふわっとした雰囲気を読み取る力でもなく、その場の状況をしっかりと認知し、ふさわしい言動を選び取る、つまりは「スキル」なのだ、ということですね。
この「空気を読む」は、特別な訓練をしなくても自然とできてしまう人がいる一方、難しいと感じる人も多い印象です。
空気が読めない、と言われたことのある人は、自分の何が悪くて空気を読むのが苦手なのか、どこが足りないのかわからないかもしれません。
「空気を読む」とは、「状況判断力」。きちんと身につけることのできるスキルです。
研修などでしっかりと身につけて、適切な言動が取れる人材を目指しましょう。
状況判断に必要な要素
状況判断をするにあたり、まずは前提となる大切なモノがあります。それは何だと思いますか?
それは、「すべての状況には、目指すべきゴールがある」ということです。
空気が読めない、と言われる方は、このゴールの設定がそもそも苦手という方も多いかもしれません。
目指すべきゴールをきちんと設定できていれば、それに向かって進む効率的な道筋が見えてきます。そして、その過程で必要な言動も決まってきます。
状況判断の第一歩目は、目指すべきゴールを見きわめることです。
そしてもうひとつ、目指すべきゴールは「共有されること」も大前提です。
仕事はチーム戦です。
関わる人、一緒に動く人は、すべて成されるべき結果=ゴールに向けて走り出します。
その大前提となるゴールがバラバラでは、得られる結果も得られなくなります。
二人三脚で別方向に走り出してしまうようなものです。
「ゴールの設定」「ゴール地点の共有」これが状況判断においてまずは大切と心得ておきましょう。
そして、状況判断に必要なのは、もちろん状況把握。
今、ある状況をしっかりと理解しなければなりません。
「目指すべきゴール」「ゴールの共有」「状況把握」これらをもとに、判断を下す。
この一連の流れが「空気を読む」の一言に集約されている、ということですね。
状況把握ロールプレイング
状況把握が大切、といっても具体例がないとなかなか自分事として考えることはできません。ここでひとつ、簡単なロールプレイングを用意しました。
あなたはゼネコン管理部門の中堅社員です。改修やメンテなどの現場に若手を配置し、監督する立場です。
とあるマンションの内装メンテナンスで、お客さまからクレームが入りました。
お客さまへのヒアリングによると、
「クロス張り替えの際に取り外した洗面台を室内に置かせてくれと言われたが、聞いていない」
「トイレの吊り戸棚の中も空にしてくれと言われたが、いきなり言われて不快だった」
「工事が大幅に遅れている」
若手社員は工事前にお宅を訪問し、工事の説明をしたと報告がありましたが、お客さまは大層お怒りの様子です。
あなたはこの状況をどのように解決しますか?
率直な疑問、感想
まずは今得ている情報からわかる限りの率直な感想、疑問を列挙してみましょう。
すべてにおいて、まず与えられた情報からしか動くことはできません。
その時に感じたこと、疑問、不審などが今後の情報収集に必要となります。
このケースですと
- お客さまの怒りを鎮めたい
- 若手社員はしっかりと説明できていたのか
- 工事遅延の理由は?
- お客さまからのクレームの前に現場から問題が上がってこなかったのはなぜ?
このあたりになりますでしょうか。
分解と確認
次に行うのが分解と確認です。
今ある情報から感じたことをひとつずつ分解・確認していきましょう。
お客さまの怒りの本質
【洗面台預かりの場所がないのに預かれと言われたことに不快感】
朝一番に来て、いきなり外した洗面台を居間に置かせて欲しいと言われたが、そもそも直前にこのような大きなものを置いて欲しいと言うのは非常識だ。
社員は説明したと言っているが、我が家には小さい子どもがいるので危険もあり、聞いていたらその場で断っている。
【吊り戸棚を空にする件】
自分が女性なので、トイレの棚には女性特有のものも入っている。
男性作業員のいる前でこの作業をしなければならないのが不快だった。これも事前に言ってくれていれば済んだ話だ。
【工事が遅れて不快感 】
工事が遅れた理由はわからないが、遅い時間まで音を出しているのにもかかわらず、近所への挨拶もしていなかった。
我が家から音が出ていると思われるのだからそこは配慮すべき。
若手社員の説明は適切だったのか
【事前に説明はしていたと認識】
「棚は外します、洗面台も外します」としっかり説明をしていたのに、お怒りになった。
→「外します」とは伝えていたが、洗面台の置き場の確認と、棚を外す際に中を空にしておかなければならない旨は伝わっていなかったと判明
【工事の遅延について】
お客さまに時間延長の了承を得ていたので、お怒りになるとは思わなかった。
→工事の遅延ではなく、近隣住民に対する配慮がなかったことがお怒りの理由
工事遅延の理由
【現場からの情報はない】
若手社員は棚の片付けや、洗面台の置き場確保で遅延が発生したと認識。
【遅れの程度】
18時作業終了予定が20時をこえた。
【作業と時間の配分】
計算すると、洗面台と棚の件がなくても遅延はあったように思われる。
お客さまからのクレームの前に現場から問題が上がってこなかったのはなぜ?
その場で都度対処していたので、そんなにお怒りだとは思わなかった。
現場作業員からも特に問題はあがっていなかった。
疑問の提示
さて、現場の状況が少しずつ見えてきました。ではこれらを踏まえて、まずはひとつずつ考察していきます。「疑問の提示」です。
- お客さまは納得していないしお怒りはごもっともな部分も多い。事前の説明はきちんとされていたのか。明らかに説明不足な点もあるように見受けられる。説明に対するマニュアルなどが必要なのではないか。
- 工事遅延の認識がどうしてここまでズレていたのか、現場とお客さまの感覚が一致していないのではないか。工事遅延で起こるのは、時間の問題だけではないことも判明した。これは他の現場でも起こり得ることなのではないか。
- 若手社員の「説明した」内容は果たして正確だったのか。説明不足感は否めない。若手社員にとっての「説明」とはどういう認識なのか。
- お客さまは現場社員ではなく、なぜ本社へのクレームという形で連絡してきたのか。現場で言えない状況を作り出したのは何なのか。
- 現場作業員と社員のコミュニケーションは適切だったのか。現場の雰囲気は問題なかったのだろうか。
課題
現場で何が起こっているのか、対処すべき問題が見えてきたでしょうか。
ここで見えてくるのが「課題」です。課題とは、問題を解決するために成すべきこと。 具体的なアクションを挙げていきましょう。
- お客さまのお怒りに対して…ヒアリングをもとに報告書を作成、上長と謝罪。今後の改善策なども合わせてご報告
- 工事遅延に関して…工事計画の見直し、遅延の際の対処マニュアル策定、特に近隣住民への挨拶などを追加
- 若手社員の認識について…マニュアルの刷新及び再教育の徹底、特に、お客さま自身で行っていただく事前準備に関しては細かくチェックできる体制を作る。また、プライベートスペースでの配慮やお客さま特有の事情(お子さんの有無)で想定されるケースを取り入れた指導(必要に応じて研修)を実施
- 現場の状況について…社員と現場作業員間のコミュニケーション研修の実施、お客さまに対する声かけなどで、大きなクレームを未然に防ぐ体制作り
優先順位をつける
成すべきことが見えたら、最後に行うのは「優先順位をつける」です。 これは何より「お客様への謝罪」になりますね。
そして、明日からの現場で同じことが起こらないよう、若手社員に対しての研修、マニュアル策定に取り組んでいきましょう。やることは山ほどありそうです。
…いかがでしたでしょうか。これはあくまでも架空のお話ですが、皆様もこれと同じような道筋で問題解決を図られているのではないかと思います。
皆さんが無意識下で行っている状況把握は、可視化するとこのようになるのですね。
状況把握が苦手な方でも、上記のような「考え方の進め方」を身につければ、同じように状況把握ができるようになるはずです。
「空気を読む」とは状況把握。
ぜひ覚えておいてくださいね!
あなたは大丈夫?「吸気を読むのが上手な人がしている状況把握術」開催のお知らせ
お知らせです。
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7回目となります12月14日(木)は、あなたは大丈夫?「吸気を読むのが上手な人がしている状況把握術」を実施いたします。
自身の状況把握力をチェックし、状況把握の必要性を学び、ワークと実演を交えた実践的な内容で状況把握力をインプットしていきます。
「空気を読む」ことは感覚的なものではなく立派なスキルです。
これらかの組織を担う若手・中堅こそ必要になる状況把握力、ぜひこの機会に身につけていただければ幸いです。
皆さまの参加をお待ちしております!
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