5月も終わり、新年度が始まって約2ヶ月が経ちましたが、新入社員の皆さんは、少しは緊張も和らいだ頃でしょうか。御社の新入社員の方々は、日々新しいことをインプットしながら、イキイキと働いていますか?
新人育成は順調に進んでいるでしょうか。
4月は異動や昇進の時期でもあるかと思います。これを機会に初めてマネジメント職に就いた方や、初めて後輩ができ、先輩になったという方もいるかと思います。後輩ができたことをきっかけにリーダーを任された方もいるでしょう。
そして、それと同時に、初めての部下や後輩の育成に対し、不安を感じる方も少なくないはずです。会社にもよるかと思いますが、これから新人の配属が決まる場合、「新人が配属されて、先輩として指導できるだろうか」と先の心配をされている方もいるでしょう。
特に初めて育成担当を任される皆さまにとって、「後輩」ができる、とはどういうことか、お考えになったことはありますか?そして、初めてマネージャー、リーダーになった人には何が必要なのでしょうか。
以前、初めてのマネジメントについての記事を公開しましたが、今回はその「前」の段階の話、マネージャーやリーダーにとって必要な心の持ちようや役割についてお伝えしたいと思います。
読む順番としましては、今回のエントリを先に確認いただき、その後に上記の記事を今一度、確認していただければ幸いです。
以前の記事では具体的な業務の進め方、言い換えれば、「マネージャー」としての「行動」の「内容」について話をしております。
しかし、「マネージャー」「リーダー」とは、「マネージャー」「リーダー」の仕事の手法を学び、その通りに働けば上手くいく…ものなのでしょうか。
今回は初めてマネージャー、リーダーになる人の「マインドセットについて」がテーマです。ではどうぞ!
「お手本」を参考にする難しさ
貴方に部下ができました。貴方はマネージャーです。そう言われた瞬間に、どのように感じるでしょうか。
「何をしたらいんだろうか」まずはこう考えるかと思います。
そして、今まで指導してくれたマネージャー、先輩達のふるまいを振り返るはずです。
最初は何もわからない状態、自分が受けたマネジメントを参考にするのは当然のことです。
マネジメントのお手本にしよう!そんな時に思い浮かべるのは、どんな先輩、マネージャーでしょうか。尊敬できる、自分がマネジメントされ、仕事のしやすかった人、自分が目標とする人なのではないでしょうか。もしくは、マネジメントされた経験から、「こういうマネジメントだったらいいのに」という理想像を目標にすることもあるでしょう。
自分の現在置かれている立場はさておき、貴方が理想としている「上司」とは、一体どのような人なのでしょうか。
「こんな上司、先輩になりたいな」の「こんな」を、どれほど精緻に思い浮かべることができていますか?
理想の上司を言語化してみよう!
「こんな上司になりたい!」と思った方がいたとします。さて、貴方にとって、その方の「どこが」素晴らしい、と感じるのでしょうか。
人間性が素晴らしい、仕事の進め方に納得ができる…これではまだまだ解像度が高いとは言えません。具体的に、「仕事上の、どんな『進め方』の『どの部分』が良い」と、できるだけ具体的に言語化してみましょう。
言葉にしていくうちに「貴方の思う『良い上司』像」がはっきりとしていくはずです。
言語化ができたら、次のことを考えてみましょう。
「貴方は、その『思い描く』上司と同じことができますか?」
理想はすぐには形にならない
もちろんしっかりとしたビジョンを持ち、理想を追求するのはとても良いことで、やるべきことのひとつでもあります。
しかし、「今」の貴方にそれがすぐできるかというと、いきなりは難しいはずです。当たり前の話ですよね。
それでも「今」の貴方が先輩であり、マネージャー職を任されるのですから、貴方は部下や後輩を指導し、育てなければなりません。
ここで違う考え方をしてみましょう。
「なぜ、『今』の貴方がマネージャーに抜擢されたのでしょうか」
「今」の貴方に任せたい
貴方がマネージャーになった、ということは、貴方にマネージャーを任せてみたいと判断した人がいる、ということです。その上司は、何か「理由」があってそう判断したはずなのです。
会社としては「今」の貴方に、マネージャーを任せたいのです。
では、ここでもう少し考えてみましょう。
「会社は、貴方のどこを見て、マネージャーに抜擢したのでしょうか」
ここでお気づきになりましたでしょうか。
会社は「今」の貴方の能力を見て、マネージャーにしたのです。
にもかかわらず、「マネージャーとはこういうもの」「こうならないといけない」という思いに囚われてはいないでしょうか。
自分と向き合おう!
考えればわかることですが、会社は「今」の貴方の能力を、マネージャーにふさわしいものだ、と判断しました。
しかし「今」できないことをやろうとしたり、自分がなりたい人物に、無理になろうとしてしまうことが非常に多いのです。
そうなってしまう理由はいくつかありますが、役職へのプレッシャー、自信のなさなどでしょうか。
しかし、ここで自分を見失い、理想の上司像を思い浮かべて同じことを今日からやろうとし、結果、何もできずますます自信を失ってしまうのは、ちょっともったいないな、と思います。
マネージャー職に抜擢された際に行う最初の一歩は、自分の考える理想の仕事を追い求めることではありません。
まずは「自分と向き合う」ことが大切なのでは、と思うのです。
貴方が今まで成し遂げたこと
それでは改めて考えてみましょう。会社は、貴方のどこを見て、マネージャーにふさわしいと考えたのでしょうか。
それはもちろん、「今までの仕事ぶり」ですよね。
では貴方は、今まで仕事でどのような成果を挙げてきたでしょうか。どのように振る舞っていたでしょうか。
まずは自分の仕事の棚卸しをしてみましょう。
今まで貴方が成し遂げてきたこと、評価されたことを整理していくうちに、だんだんと自分の「強み」が理解できてくるはずです。
「理想」とする素晴らしい上司像は理想として、自分の目標として心に留めておくのはとても大切なことですが、それと「自分のできること」を混同せず、自身の「強み」「会社が評価してくれた部分」をしっかりと把握し、そこを活かして仕事を進めていく方法を考えていただきたい、というのが今回お伝えしたかったことです。
「強み」を活かす
「今」の貴方が評価されてのマネージャー昇進です。要は、貴方は貴方でいれば良いのです。といっても、役職が上がるのですから、当然、仕事の進め方は変わっていきます。
自分の「強み」をしっかりと把握できれば「この強みを生かしてこういうチーム作りをしていこう」「この部分はメンバーに伝えていこう」といった、確実に貴方に実行可能な戦略を立てることができるはずです。
その上で、貴方が今後、取り組んでいきたい仕事の進め方や、貴方の考える理想的な上司像を、自身の強みと掛け合わせることで、貴方だけの「オリジナル」なマネジメント手法が確立していくのです。
もしも、貴方をマネージャーに任命した上司に、任命の理由を聞くことができれば、是非、そうしていただきたいとも思います。「今」の貴方の能力をもっとも的確に評価している人なので自己理解が進むでしょう。
ただ、誰しもが自分をマネージャーに任命した理由を確認できるとは限りませんし、それ以上に、自身の強みを自分なりに把握する作業は、今後、きっと貴方の力になってくれるはずです。
「関係の質」を損なわないように!
このお話をした理由のひとつに、信頼おける、一緒に楽しく働いていた同僚が、マネージャー職に就いたとたん、急に「その人らしさを失ってしまう」といった事例をよく見聞きした、というのがあります。
本人にしてみれば、これからは管理職、今までとは違う人間になって、厳しくチームを引っ張り、結果を出したい!と努力しているのでしょう。
しかし、無理して「マネージャーかくあるべし」像の形ばかりの真似をし、自身の持つ魅力や強みを失い、果ては仲間からの信頼も失ってしまう…といった事例が意外と多いように思います。皆様にもお心当たりがあるのではないでしょうか。
MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏によって、提唱された「成功の循環(Theory of Success)」をご紹介しましょう。
「関係の質」が高くなると、自然と考え方も前向きになり、目的意識が高まり「思考の質」が上がります。それが人々の積極性や主体性といった「行動の質」を高め、成果が生まれて「結果の質」につながります。すると、ますます関係の質が高くなる、という循環が生まれると提唱されています。
まずは「関係の質」を損なわないことが非常に重要なのです。自分なりに考えた「デキるマネージャーの行動」をトレースするのではなく、今まで得た信頼、貴方らしさを失わないようにすることが、本当の意味での「マネージャー」の第一歩なのではないでしょうか。
オンライン公開講座の紹介
さて、これからはご紹介です。新入社員対象のオンライン公開型研修に加え
「ぜひ中堅社員、中途入社の社員にも受講できるものを開講してほしい」
「リーダーやマネージャーの部下育成のスキルを高めたい」
など、少人数から受けられる講座のお問い合わせをいただく機会が増えました。
そこで、「一人ひとりに合った学びの場を。実践的ワークで今日から活かせる!社会人基礎力でワクドキ組織をつくるオンライン公開講座」を開講します。
初回となります、6月15日(木)は、まさにリーダー、マネージャー対象に
「あなたの強みを活かす!『初めての部下・後輩育成』」
今回お話しさせていただいた初めてのマネージャー職におけるマインドセットを学ぶことができます。
ワークを取り入れ、「貴方の強み」を具体的に明文化し、「貴方の目指す」マネージャー像を言語化することで、貴方が貴方のままで、不安なくマネージャー職に取り組めるような内容となっております。
今までの仕事の成果や自身の強みなどをしっかりと把握し、「理想像」も具体的なものにすることで、明日からのマネージャー職に自信を持って取り組めるはずです。
「今できること」を学ぶ講座なので、持ち帰ってすぐに実践することができ、まさに初めてのマネージャー職の方にはうってつけの内容となっております。
この研修の特徴は、「足りないスキルをインプット」するのが主目的ではない、ということ。「今」持っている強みを再確認し、マネージャー職に臨みましょうというものなので、すぐに実践できるというわけです。
(もちろんマネージャー職に必要なスキルのインプットもありますよ!)
というワケで、初めてのマネージャー職、先輩、リーダーになった人には是非!一番最初に受けて欲しい研修となっておりますので、取り入れていただければ幸いです。
いかがでしたでしょうか。今回は初めてのマネージャー職に向き合うマインドセットの話をさせていただきました。会社は今の貴方を評価しています。自信過剰は考えものですが(笑)今までの成果、スキルを存分に発揮し、さらに学んで素晴らしいマネージャーに成長できることを、周囲は大いに期待しているはずです。
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